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『ONE PIECE STRONG WORDS 2』~街場の『ONE PIECE』論3(内田樹)

『ONE PIECE STRONG WORDS 2』 (集英社新書)
著者:尾田 栄一郎  解説:内田 樹 の紹介です。

『ONE PIECE STRONG WORDS 上巻 』
『ONE PIECE STRONG WORDS 下巻』にひきつづき、
マンガ『ONE PIECE』の名言集。


内田 樹さんの解説文
「街場の『ONE PIECE』論3」からの引用です。



目次 

序章 冒険の言葉
第1章 英雄の言葉
第2章 呪縛の言葉
コラム コトバの沸点
第3章 未来の言葉
第4章 超越の言葉
解説 街場の『ONE PIECE』論3―「生きるもの」の側に与し続けるという真理(内田樹)



○「強い言葉」とは何か

この本のタイトルは「強い言葉」ですが、「強い言葉」とはなんでしょう。


身体が整う言葉、感染する言葉です。

『ONEPIECE』には「強い言葉」が含まれています。僕自身の体が反応するのでわかります。それを読むことで、読者の側の身体が整う感じがする、そういう強さです。
その言葉が周りの人々に「感染」して、それによって人々の体や思考や感情が「整った」という結果で「強さ」は判定するしかない。


おもわず、納得してしまう言葉です。

他者の口から出た言葉なのだけれど、聞いているうちに、それが自分の中の深いところからにじみ出してきた言葉のように懐かしく感じられる言葉。ずっと思っていたのだけれど、なかなか言葉に出来なかったことを今かたちにしてもらった言葉。「強い言葉」はそういう納得感を伴います。



錯覚かもしれないけれど、その「被感染力」の強さが人間を成長させてきました。
錯覚でいいんです。人間はそういう生きものですから。外部から到来したものを自分がずっと探し求めていたものだと感じて、それに一気に同化できる「被感染力」の高さこそ、他のどんな種にもまさって人類の成長と変身を可能にしたものだからです。



この強い言葉が、絶好調の組織を作ります。
「強い言葉」が生み出すのは共生感です。メンバー一人ひとりがひとつの多細胞生物の一細胞であるかのような共生感を共有できていることが絶好調で機能している組織の特徴であることはどなたにも異論はないと思います



○ルフィの採用戦略~絶好調の組織の作り方


麦わらの海賊団は、「理想の組織」のように見えます。

いちばん読者が惹きつけられているのは麦わらの海賊団の組織原理でしょう。どうして、この組織はこんなにうまく機能しているのか、それが知りたい。


どうやって、ルフィは仲間を集めるのでしょう。

ルフィの乗組員採用戦略は「こういう機能のニーズがある」からそれを埋める人材をリクルートするというものではありません。まず偶然の出会いがあって、「おもしろいやつ」だと思ったら、「一緒に来ないか」と誘う。それがルフィのやり方です。


「この仕事ができる人、募集」という求人ではありません。

「雇う側」と「雇われる側」のどちらもが、雇用が発生した段階では、どうしてそういうことになったのか、わかっていない。
「どうしてこの人に来て欲しいのかわからない(でも、来て欲しい)」「呼ばれたけど、そこで何をしていいのかわからない(でも、行きたい)」という二重の「?」のうちに取り結ばれた雇用関係ほどに生産的なもなのはこの世にないのです。

誘われたメンバーは何をすべきなのでしょう。

「この人以外の誰によっても代替できず、この人がいたことで全員が救われたような出来事」に遭遇する以外に解がありません。そのときはじめてこの人事の意味が劇的に開示される。そのとき、クルーは自分が何のためにこの場に「呼ばれた」のか知ることになる。



根底にあるのは、「一緒にいたい」という思い。

ルフィは「人材」という言葉も、「即戦力」という言葉も、「採用条件」という言葉も使いません。
まず、人と人の出会いがある、そこで「一緒にいたい」という思いが発生する。


キーワードは「あなたなしでは生きられない」。

いちばん強いのは「あなたなしでは生きられない」という言葉を交わし合って生きる人です。
どうすれば、人間は強くなるか。そう、「あなたなしでは生きられない」と人に言われると人間は強くなるのでした。



その秘密を直感的に理解しているのが、ルフィなのです。

他人から依存されるときにこそ人間の潜在能力は爆発的に開花するという、ルフィには直感されている真理を他のクルーはまだ完全には理解していません。



ルフィは仲間を信頼し、「仲間なしでは生きていけない」と宣言する。
それに応えようと、仲間たちは強くなり、その能力を最大限に発揮する。
そしてまたルフィは、仲間たちを守るために、ますます強くなる。
こうして、この理想的な組織は回っていきます。


「最弱のクルー」と呼ばれるウソップのセリフが
まさにそれを語っています。

こちとらしっぽ巻いて
逃げ出してエのに!!
どこまでもどこまでも
際限なくおれ達の力を
信じてやがるから・・・・・・
しまいにゃ、こっちが折れちまったよ!!

だったら
命の限り
応えてやらアっ
てなア!!!


(ウソップ 巻70 第691話)



参考記事)

2011-03-20 『ONE PIECE STRONG WORDS 上巻 』~街場の『ONE PIECE』論(1)~内田 樹

2011-04-17 『ONE PIECE STRONG WORDS 下巻』~街場の『ONE PIECE』論(2)~内田樹


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