FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このエントリーをはてなブックマークに追加

『父の大手柄 少年時代 1/マルセル・パニョル 』~切手のように言葉を集めた少年

2月28日はマルセル・パニョルの誕生日です。

『父の大手柄 少年時代 1/マルセル・パニョル 』(評論社)から抜き書きです。




マルセル・パニョル(1895年2月28日~1974年4月18日)は、
フランスの小説家、劇作家、映画作家。

『父の大手柄 少年時代 1/マルセル・パニョル 』はパニョルの回想録です。


仲のいい家族と一緒の、
楽しかったり、切なかったりするエピソードが一杯です。

パニョルは、子供時代の思い出を
55歳になってふと思い出したのだといいます。

わたしの幼年時代の追憶は、なにもこれを今までずっと持ち続けていたわけではない。55歳になって、ふと思い出したのである。たぶんその年頃までは、誰にしたってあまりにも忙しく、あまりにも煩いが多いからであろう。


親についての考察は、ユーモアたっぷりです。

自分が生まれてからでは、親を教育するにはとうてい、間に合わないのが常であるから、子供たるものは、なおそうにも手のつけられない親の癖は尊重し、決して、親に逆らって、これを悲しませてはならないのである。

幸せな子供時代。

わたしたちは村を出た。するとお伽の国がはじまり、わたしの心に愛が生まれるのを感じられた。この愛は終生、わたしの心に生き続けることになるのだ。


今日、紹介したかったのは、このエピソードです。
マルセルは、「言葉集め」をしていました。

わたしが聞き耳を立てていたもの、わたしが窺っていたもの、それは単語だった。わたしは、単語というものに夢中になっていたからだ。わたしは、他の子供たちが切手を集めるように、単語を集め、それをそっと、小さな手帳に書き留めていたのだ。

マルセルが好きなのは、音の美しい言葉。

わたしは「柘榴の実(グルナード)」 「煙(ヒュメ) 」「ざらざらした(プーリュー)」 「虫の喰った(ヴェルムーリュー)」 それになかでも「ハンドル(マニヴェル)」が大好きだった。自分一人きりのとき、わたしはよくこうした単語を口で言ってみては、その音をたのしんだものだ。

なぜ、このエピソードが好きかというと、
管理人も子供のころ、同じような手帳を作っていたからです。

それは小さな金色の手帳で、
主にテレビで聴き覚えた言葉を書き留めていました。
意味がわからないけど、美しいと感じた言葉たちです。

書き留めたのがどんな言葉だったか、あまり記憶がないのですが、
ひとつだけはっきりと覚えているのは、
「あるまじき」という言葉。

テレビドラマで使われるのを聞いて、書き留めました。
とても「謎めいてる」言葉だと、お気に入りだったので、
「あまりよくない意味で使われる」と知ったときには、がっかり。

この金色の手帳は、数年使って、いつの間にか忘れ去ってしまいました。
それ以降、ずっと行方不明のまま。
今読むことができたら、どんなに楽しいだろうか、と思うととても残念です。

マルセルの手帳は、彼の手元にあったのでしょうか。
だとしたら、とても羨ましいことです。

切手のように言葉を集めた少年が、マルセル・パニョルの原点なのでしょう。
こうして、わたしは高貴な響きを持った単語は、必ずりっぱなイメージを含んでいることを悟ったのである。

このエントリーをはてなブックマークに追加
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。