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『おじいさんの思い出/トルーマン・カポーティ』~おじいさんの秘密とは何か?

『おじいさんの思い出/トルーマン・カポーティ』の紹介です。

『誕生日の子どもたち』(文春文庫)に含まれています。

クリスマス・ストーリーではないのですが、
クリスマスの季節にはぜひとも読み返したくなる1篇です。




〇山のふもとの幸せな生活

主人公の少年ボビーは、両親と祖父母の5人で
ウエスト・ヴァージニア州のアレゲーニー山脈のふもとで、幸せにくらしていました。

おじいさんは、ある「秘密」を持っていて、それをいつかボビーと共有することを楽しみにしています。

「なあボビー」とある金曜日の夜におじいさんは言った。「わしにはひとつ秘密があってな、いつかお前にそれを教えたいんだよ」


ところが、お父さん、お母さん、ボビーの3人は、ヴァージニアに引っ越すことになりました。
ボビーにしっかりした教育を受けさせるためです。

ボビーもおじいさんも、お互いに離れることを、とても悲しみました。

「お前がいなくなると寂しいよ。お前は知らない人たちのあいだに入っていくわけだが、わしのことを覚えていてくれよな。そしてわしの秘密のこともな、いつかここに帰ってきて、その秘密を二人で共有しような」。それからおじいさんは僕の方を向いて、ひどく悲しそうな顔をした。



〇「秘密」を分かちあうために

おじいさんは、いずれ「秘密」を分かちあうために、必ず自分に手紙を書く事をボビーに約束させます。

おじいさんはいつか僕と共有するはずの秘密についてまた話した。人というものは一度離れてしまうと、お互いのことを忘れていくものなんだよとおじいさんは言った。
わしとお前と双方が約束を守らんかぎり、秘密をわかちあうことはできんからね。とおじいさんは言った。おじいさんは僕の手紙にちゃんと毎週返事を書くし、寝室のたんすの上に、おばあさんや、母さんや父さんの写真と一緒に僕の写真を飾っておくと約束した。

ボビーは「おじいさんの秘密」が、この引越しをひきとめることができるくらい「貴重な何か」ではないか、と期待するのですが、

僕はベッドに戻って、おじいさんとその秘密のことを考えた。ひょっとしてそれは、僕らがここを出ていくことを思いとどまらせるようなものなのかもしれない。おじいさんは父さんにそれを示して気持ちを変えさせるつもりかもしれない。

結局、引越しを阻止する手立てはなく、ボビーは「秘密」に対して幻滅を感じます。

僕は心の中でおじいさんに懇願した。秘密を持ち出して、僕らが出て行かなくてもいいようにしておくれよ、と。でも僕はもう幻想に耽ったりはしなかった。これが現実であり、おじいさんはぜんぜん秘密なんか持っちゃいないんだと思い始めていた。


〇引っ越しの後で


引っ越した先で、ボビーは約束どおり、おじいさんに手紙を書くのですが、
おじいさんからの返事には、引っ越した翌日におばあさんが亡くなったことが記されていました。

その後、ボビーはおじいさんのことも忘れがちになります。

ボビーがハイスクールにあがったとき、おじいさんが亡くなったことが知らされます。

ボビーは「秘密」のことを思い出します。

おじいさんは、死んでしまったのだ。間違いなくこれはおじいさんのことだ。僕は彼の秘密のことを考えたー彼が僕に教えてくれたことを、彼が僕に語ってくれたことを。「父さんと母さんを愛するんだよ」とおじいさんは何度もいった。



〇おじいさんの秘密とは、何だったのか?


おじいさんの「秘密」について、ボビーはうすうす感じます。
それは、「もの」ではなくて、「愛」に関することだと。
僕にはやっとわかった。そういうのは全部、おじいさんの「秘密」の一部だったのだ。いかに生き、いかにみんなとうまくやり、人生を楽しむかという、それは人に愛され、人と愛しあうことに関わっているのだ。


送られてきたおじいさんの遺品の中に入っていたのは、
約束通りおじいさんがたんすの上に飾っていた、ボビーたちの写真でした。

おじいさんの秘密が何だったのか、具体的にはわかりません。
でも、それを知るには、一緒の時間を過ごすことが必要だったのではないでしょうか。


この作品を読むと、「身近な人たちを大切にしたい」という気持ちが強くなります。

カポーティのクリスマス・ストーリーといえば、
『あるクリスマス』と『クリスマスの思い出』が有名ですが、
『おじいさんの思い出』も、
この季節に読むのにぴったりですよ!



参考記事)

2011-12-22  『クリスマスの思い出/トルーマン・カポーティ』~31個のフルーツケーキ

2011-12-21  『あるクリスマス/トルーマン・カポーティ』~揺れるイノセントな世界



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