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本の中の幻灯会~一葉、賢治、プルースト

二転び日記がきまぐれにお届けする
「本の中の○○シリーズ」。

今日は幻灯会です。

樋口一葉、宮沢賢治、プルーストからお届けします。

IMG_9476.jpg


幻灯機というのは、たとえば、こういうのです。
画像 幻灯機
幻灯機

なんだか、謎めいていて、素敵だと思いませんか?
万華鏡や、プラネタリウムのように憧れを感じます。


○一葉の世界~祭りの日、子供たちの遊び


『たけくらべ/樋口一葉』(青空文庫)からです。
幻灯は、お祭りの日の子供たちの遊びとして描かれます。

子供たちが「お祭りの日に、何かで遊ぼう」と相談しているとき、
正太は「幻灯をしうよう」と提案します。

田中の正太は可愛らしい眼をぐるぐると動かして、幻燈にしないか、幻燈に、己れの處にも少しは有るし、足りないのを美登利さんに買つて貰つて、筆やの店で行らうでは無いか、


「美登利さんに買つて貰つて」というのは、
美登利が売れっ子遊女の妹として甘やかされており、
お小遣いをふんだんに持っているからです。

己れが映し人で横町の三五郎に口上を言はせよう、美登利さん夫れにしないかと言へば、あゝ夫れは面白からう、三ちやんの口上ならば誰れも笑はずには居られまい、序にあの顏がうつると猶おもしろいと相談はとゝのひて、不足の品を正太が買物役、汗に成りて飛び廻るもをかしく、いよ/\明日と成りては横町までも其沙汰聞えぬ。

幻灯には口上がつきもののようです。

幻灯の写真がどのなものだったかはわかりませんが、
子供たちだけで企画して、準備を整えています。



○賢治の世界~子ぎつねたちの幻灯会


『雪渡り/宮沢賢治』(青空文庫)からです。

四郎と妹のかん子は、
子きつねの紺三郎から幻灯会への誘いをうけます。

幻灯会は、紺三郎の「開会の辞」から始まります。
紺三郎がエヘンエヘンとせきばらいをしながら幕の横から出て来て丁寧にお辞儀をしました。みんなはしんとなりました。
「今夜は美しい天気です。お月様はまるで真珠のお皿です。お星さまは野原の露がキラキラ固まったようです。さて只今から幻燈会をやります。みなさんは瞬やくしゃみをしないで目をまんまろに開いて見ていて下さい。




この幻灯会で使われるのは、
「酔っ払っている人間」や、「しっぽを焦がしてしまったきつね」などの写真(絵)で、
先にタイトル(文字)が映し出されます。

『お酒をのむべからず』大きな字が幕にうつりました。そしてそれが消えて写真がうつりました。一人のお酒に酔った人間のおじいさんが何かおかしな円いものをつかんでいる景色です。


幻灯会の最中は、みんなで歌をうたいます。

みんなは足ぶみをして歌いました。
キックキックトントンキックキックトントン
 凍み雪しんこ、堅雪かんこ、
     野原のまんじゅうはぽっぽっぽ
 酔ってひょろひょろ太右衛門(たえもん)が
     去年、三十八たべた。
キックキックキックキックトントントン


幻灯の合間に休憩があって、
「人間のお客様」である四郎とかん子には、
きび団子がふるまわれました。

このきび団子が重要です。

この幻灯会には、
「人間が、自分たちきつねを信じてくれるかどうか」を確かめる
という別の重大な目的もあったのです。




○プルーストの世界~家族だけで楽しむ幻灯会


 『失われた時をもとめて 1/プルースト 』(岩波文庫)からです。

家庭のなかで、主人公ひとりのために幻灯は行われています。

私かひどく悲しげな顔をしている夕べには、気晴らしに幻灯を見せるという手が考えてあり、家族の者は夕食の時刻を待ちながら、幻灯で私のランプを覆ってしまう。すると幻灯は、ゴシック様式時代の最初の建築家やステンドグラス工のひそみにならい、不透明な壁のかわりに、触れることのできない虹色の輝き、超自然の多彩色のまぼろしを配置する。そこに伝説が描き出されてゆくさまは、揺らめいては消え去るステンドグラスを想わせる。

幻灯の内容は中世の伝説で、
きちんとした物語になっているようです。

ぎくしゃくした足取りの馬に揺られ、おぞましい企みを胸に秘めたゴロが、ビロードのような暗い縁が丘の斜面を覆う小さな三角形の森から出てくると、飛び跳ねるように、かわいそうなジュヌヴィエーヴ・ド・ブラバンの城へと歩を進める。


こんな雰囲気でしょうか?
IMG_9474.jpg





台本にしたがって、大叔母さんが口上を述べます。

ゴロはいっとき歩みを止め、大叔母が大声で読みあげる口上に悲しげに耳を傾けるが、その口上が隅々まで理解できるといった顔つきで、従順に、とはいえある種の威厳は失わずに、台本の指示どおりの姿勢をとる。


幻灯器を動かすことで、映像はカーテンの上などにも映ります。

家族の者が幻灯器を動かすと、ゴロの馬はひきつづき窓のカーテンのうえを進み、襞の山のうえで膨らんだり、襞の谷底に降りたりするのが手にとるように見えた。




まったく毛色の違う3作品ですが、
どの幻灯をみたいですか?

管理人は、圧倒的に
きつねの幻灯会が見たいです!



 私の幻燈はこれでおしまいであります。(『やまなし/
宮沢賢治



参考記事)

2013-07-03 本の中の「語り聞かせ上手なお母さんたち」~アーサー・ランサム、プルースト、ゲーテ

     
「本のなかの文房具シリーズ」

① 2012-01-28  本の中の文房具~文房具好きのクローディーヌ/コレット

② 2012-09-12 iPadは電子石盤~アンとローラの時代から

③ 2012-11-09 本の中の文房具~カクロウのモレスキン、マラルメの革手帳




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