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本の中の「語り聞かせ上手なお母さんたち」~アーサー・ランサム、プルースト、ゲーテ

二転び日記がきまぐれにお届けする
「本の中の○○シリーズ」。

今日は、
本の中の「語り聞かせ上手なお母さんたち」です。

タイトルが少々無理っぽいですが、
作家のお母さんで、「語り聞かせ上手な人」、を探しました。

アーサー・ランサム、プルースト、ゲーテからです。


母親が語り聞かせ上手だから作家になれた、
というわけではないでしょうが、
語り聞かせ上手なお母さんたちは、
間違いなく作家たちに影響を与えているようです。




○アーサー・ランサムのお母さん~自分の好きな本を選んで


『アーサー・ランサム自伝』(白水社からです。

アーサー・ランサムのお母さんは、「自分で読んで面白い本」を選びます。

屋外で遊んでいないときはいつも、本を読むか、母が読んできかせてくれるのを聞いていた。幸いなことに、母は朗読が好きな上にじつにたくみな読み手だった。これは、一つには、母は、自分で読んでおもしろくなかった本はぜったいに読んで聞かせなかったことのおかげでもある。


子供が読む価値のある本は、大人も読む価値があるからです。

この単純なきまりのおかげで、私たちは、たくさんの駄作を読まずにすんだ。私は、本を読んで聞かせる母親はみなこのきまりを守るべきだと思う。(母親が読んでくれない子供たちを気の毒に思う。)子供が読む価値がある本は、大人にも読む価値があるのだ。




○プルースト
のお母さん~その声は優しく、美しく

『失われた時を求めて Ⅰ プルースト』(岩波文庫)から。

話し手は、お母さんから
ジョルジュ・サンドの『フランソワ・ル・シャンピ』をベッドのわきで読んでもらいます。
もっとも、恋愛場面はとばしながら。

母は、書いてある通りには読んでくれなかったが、真心がこもっていると認められる作品のすばらしい読み手になりえたのは、その解釈に敬意と率直さが込められ、その声が美しく優しかったからである。


お母さんは、まるでお母さんのために書かれたかのような自然さで語ってくれるのです。

その声から注意ぶかく卑小な気取りはすべて排除し、そこに力強い流れが入り込むよう工夫したうえで、まるで自分の声のために書かれ、すべてが自分の感受性の音域に収まるように感じられる文章に、その文章が求める自然な愛情と、豊かで優しい気持ちをたっぷり注ぎ込んだ。文章をふさわしい口調で読むに当たり、言葉では示されていないが、文章が生まれる以前に存在し、その文章を書きとらせたはずの温情あふれる調子を見出したのである。




○ゲーテのお母さん~思った通りにかえてくれる

『若いゲーテ―評伝/ 高橋 健二』(河出書房新社) から。

ゲーテのお母さんは、当時「偉大な語り手」と呼ばれた人でした。
ゲーテは、物語が気に入らないと、お母さんに抗議をします。

あの子はくいいるようにわたしを見つめたものです。あの子のお気にいりのものの運命が望み通りにならないと、あの子の顔に怒りが浮かんだり、涙をこぼすまいとしたりするので、それと分かりました。時にはこういって、話をさえぎることもありました。「お母さま、おひめさまはみすぼらしい仕立屋なんかと結婚しませんよ。いくらその仕立屋が巨人殺しでも」

お母さんは、ゲーテの好みに応じて、お話を作りかえてくれました。

そういう時わたしは話をやめて、大詰めを次の夜までのばしました。こうしてわたしの想像はよく、あの子のものに置き換えられました。次の朝わたしは、あの子の考えている通りに主人公の運命を変えて、いったものです。「あなたの思ったとおりだったのよ。ほんとうにそうなったの」あの子はとても興奮して、胸の高鳴りが、手に取るようにわかりました。



間違いなくゲーテは、
物語をつくる楽しさをお母さんから学んだのです。

  父からぼくは体格と
  まじめな人生の生き方を受けついだ。
  母ちゃまからは快活な資質と
  お話をつくるたのしみを。
  
  (「父からぼくは体格と」小塩節訳・小塩節著『私のゲーテ』青娥書房刊、二〇〇二年より)
「ゲーテ『イタリア紀行』を旅する の試し読みサイト」より引用




語り聞かせ上手なお母さんたち、
偉大な作家たちを育ててくれてありがとう!



参考記事)
     
「本のなかの文房具シリーズ」

① 2012-01-28  本の中の文房具~文房具好きのクローディーヌ/コレット

② 2012-09-12 iPadは電子石盤~アンとローラの時代から

③ 2012-11-09 本の中の文房具~カクロウのモレスキン、マラルメの革手帳



2012-01-18 『アーサー・ランサム ロンドンのボヘミアン』

2013-01-18 『アーサー・ランサム自伝』 ~架空の女性にラブレター?

2011-07-10 『失われた時を求めて/マルセル・プルースト』~無意識的記憶を求めて

2011-08-28『西東詩集/ゲーテ』より「ズライカの書」




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