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『ジジ/コレット』~今も昔も高級娼婦のマナーはたいへん

1月28日はコレットの誕生日です。

シドニー=ガブリエル・コレット ( 1873年1月28日 - 1954年8月3日) は、
フランスの女性作家。
『青い麦』、『シェリ』などが有名です。

今日は『ジジ コレット著作集 11』(二見書房)から
テーブルマナーのシーンをお届けします。


ジジ(ジルベルト)の家族は、
いわゆる裏社交界の女たちです。

祖母のアルヴァレス夫人は、
今も亡き恋人のスペイン名を名乗っているし、
祖母の妹のアリシアも、
かつての恋人はスペインの王さま。
ジジの母アンドレは、
ジジの父に捨てられた後は歌手として生計をたてていいるので、
今は「堅気」です。

幼すぎると心配されているジジでさえ、
自分たちが普通の人たちとは違う、
「正式な結婚をしない女」たちだということを知っています。

わかります、おばさま。わたしたち、わたしたちはみんな結婚していないんだということ」

アリシア伯母さんは、まだ15歳で子供っぽいジジに、
その筋の女性のたしなみを教えています。

アリシア伯母さんは70歳の今でも、
立ち居振る舞いは若い女性のようです。

ジルベルトは、すべてをひっくるめて伯母さんを尊敬していた。食卓につくと、伯母さんは、お尻の下でスカートをひっぱり、膝をあわせ、肩甲骨をうしろに引いて、肘を両脇によせた。若い娘そっくり。


さあ、難しい食事の時間です。

「・・・きょうの卵料理、食べるの、むずかしいんですか?」
「いいえ、ちっとも。揚げパン添えかき卵よ。ほおじろだって、むずかしくありません。それからチョコレート入り生クリームを召し上がれ。わたしもいただきます。」



アリシア伯母さんそのものが、行儀の手本です。

彼女は、お行儀を身をもって示した。そっと、上品にパンをちぎる。口を閉じて食べる。肉を切るとき、ナイフの背に人差し指が行かないように気をつける。髪を項のところでまとめていたので、若々しい額と、耳の周辺部がくっきりと見え、くすんだブルーの、仕立て直しのドレスからは、すこしあばたになった頚の付け根のところに奇妙に力強くすわっている頚が、あらわに見えた。


ジジの学校の様子、どんな友達と付き合っているのかを探りながら、
伯母さんは食事のマナーを教えます。

「勉強してるわね、学校で? お友だちには、どんなひとがいるの? ほおじろは、しっかりしたナイフさばきで、二つに切りなさい。お皿の上で、ぎりぎり刃先の音をたてないように、よく注意して。半分に切ったのを、それぞれ、ぽりぽりとかじるのよ。骨は気にしなくていいの。食べるのをやめないで、わたしの質問に答えなさい。といっても、口のなかをいっぱいにして喋ってはだめよ。さ、やってごらん。わたしにできるのですから、おまえにもできます。お友だちには、どんなひとがいるの?」



『ジジ』の舞台はベル・エポックです。
ベル・エポックは
おおむね19世紀末から第一次世界大戦勃発(1914年)までを指す、
パリの華やかな時代です。


ところが、イタリア ルネサンス期にも
似たような話がありました。

『文芸サロン その多彩なヒロインたち /菊盛 英夫』(中公新書)には、
15世紀末から16世紀にかけてのイタリアの高級娼婦の話がでてきます。

ここに、ジジが伯母さんに教わっていることとそっくりな話がでてきます。

当時の娼婦ラトルトーラの話です。

「彼女のテーブルマナーは非のうちどころがない。いつも指先で優雅に食べ物をつまみとり(当時はフォークの類は一般に使われていなかった)、いちどきにたくさんは口にせず、またがつがつ食べるなどということはしない。」『文芸サロン』


ナンナという娼婦は、同じ道に入ろうとしている20歳の娘ピッパにテーブルマナーを指南します。

「サラダが出ても(オードゥブルとして最初に出た)、乾草にとびつく牛みたいに跳びついてはなりません。ほんの一口だけとって、指を汚さないように。お皿の上に身を乗り出すようなことはしてはなりません・・・・・・自分の椅子にまっすぐ掛けていなければいけません。口を開けて食べたり、やたらとお喋りしてもいけません。お酒もたくさん飲まないように。グラスはせいぜい半分くらい充たす程度にしなさい。」『文芸サロン』



かたやベル・エポック、かたやイタリアルネサンス。

「その筋の女たちのマナー」はとても似通っているものですね。


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