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『君に物語を語りたい ポール・オースター 訳 柴田元幸』

ポール・オースターの『君に物語を語りたい』(訳 柴田元幸)を紹介します。

ポール・オースター(1947年2月3日 - )は、アメリカの小説家、詩人。

『君に物語を語りたい』は、オースターがスペイン皇太子賞文学部門賞を
受賞した際に、書き下ろした文章です。

なぜ、人は物語をききたがるのか、ここに一つの答えがあります。

雑誌『コヨーテ』の24号(2008年1月号)に掲載されたものです。
4884182111Coyote (コヨーテ)No.24 特集:千年の茶の道しるべ[茶の終着点を求め、京都を往く]
新井敏記
スイッチパブリッシング 2007-12-10

by G-Tools


見開き2ページの短いものです。

○ともかく、書きたいという欲求がある


作りたい、創造したいという欲求は人間の根源的なもの。
オースターは、ともかく書きたいのです。

とにかく思春期のはじまり以来ずっとこの欲求を感じてきたということだけだ。
書きたいという欲求、とりわけ物語を、現実世界と呼べる場で起こったことのない
架空の物語を語りたいという欲求。たしかに、奇妙な生き方である。
ペンを手に一人で部屋にこもり、何時間も何日も何年も、紙の上に言葉を書きつけて、
自分の頭のなか以外には存在しないものを生み出そうとあがく。
誰であれ、なんだってそんなことをしたがるのか? 
私にこれまで思いつけた答えはただひとつ、そうするしかないから、
選択の余地はないから。



○なぜ、人はおはなしを聞きたがるのか? 


子供のときに、おはなしを読んでもらったことがありますか?
その時の楽しさを思い出してみてください。

なぜかくも熱心に、おはなしを聞きたがるのか? 
おとぎばなしはしばしば残酷であり暴力的であり、人が首を切られたり食べられたり
するし、グロテスクな変身や邪悪な魔法に満ちている。こんな素材は幼い子には
恐ろしすぎるのではと思いたくなるが、そうではない。
子供はこれらの物語を通して、完璧に安全な、保護された環境のなかで、
自分の恐怖や内なる苦悩と向きあうことができる。そこに物語の魔法がある。
たとえ我々を地獄の底に引きずりおろしても、最終的には我々を傷つけはしないのだ。


 
○物語なしではいられない

読書人口が減っているといわれる一方で、
テレビやマンガはたくさんの物語を供給しています。
結局、人間は物語なしではいられません。

それは人間が物語を必要としているからだ。食べ物とほとんど同じくらい切実に
必要としているからだ。紙の上、テレビ画面、物語がどのように提示されようと、
とにかく物語なしの生活など想像不可能だ。



○小説は作者と読者との平等な合作である


読書は常に一人だけです。
物語とは、作家と読者が二人でつくりあげるものなのです。

本に関して、数を問題にしてもはじまらない。いるのは一人の読者だけだからだ。
一回一回そのたびに、ただ一人の読者がいるだけだ。
すべての小説は作者と読者との平等な合作である。それは世界で唯一、
二人のまったく知らない同士が、何の邪魔も入らぬ親密さで出会うことができる場だ。
私はこれまで、会ったこともない人々、いつまでも会うことのないであろう人々との
会話に生涯を費やしてきた。これからもずっと、呼吸が止まるまで続けていきたいと
思う。これだけが唯一、私かやりたかった仕事なのだ。


オースターの「書きたいという欲求」が熱く伝わってくる文章です。

雑誌『コヨーテ』は2011年1月号(No.46)をもって休刊になります。
ご興味にある方は、お早めに。





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